2014年フィギュアスケートグランプリシリーズ中国杯で羽生結弦選手と中国のハンヤン(閻涵)選手が6分間練習中に衝突。羽生選手は顎の下を縫うなどの大怪我を負ったという事故がありましたね。包帯姿で4回転を飛んだ羽生選手の執念の滑りに圧倒されました。実は事故当時の記憶を羽生選手は詳細に覚えていました。あの時何が起きて羽生選手は何を感じたのでしょうか?
羽生結弦選手が事故にあった原因とは?
羽生選手は男子シングルフリースケーティング最終グループの6分間練習をしていました。そこでアクシデントが起こりました。↓が事故の様子を横側からとらえた映像です。画面右手から来るのが羽生結弦選手、左手がハンヤン(閻涵)選手です。
羽生選手は左足を軸に3ターンをしようとしていた瞬間にハンヤン選手とぶつかりました。ハンヤン選手もぶつかる直前まで羽生選手に対して後ろを向いていてターンでしょうか?振り向くと羽生選手が目の前にいたという感じですね。
衝突の瞬間について、羽生選手の説明によれば、左足が軸のターンをしようとしていた時に、左足の膝の内側にハンヤン選手の足が入った。右足が氷についていない状態だったので踏ん張ることもできずどうしようもなかったという状態だったようです。確かに、ツルツルの氷で片足立ちをしていて何かが足にぶつかって来たら倒れるしか無いですよね。
しかも二人共滑っている状態ですよ。男子スケーターのスケーティングは時速30kmとも言われてますから、車と同じぐらいのスピードで衝突したと考えればその衝撃がヤバそうなことは想像つきます。(物理とかわからないんで計算はできませんが^^;)本人も言っていたように数秒タイミングがズレていれば選手生命や、命をもおびやかす事故になっていたかもしれません。
そして衝突の後、羽生選手は氷に倒れ込んでいました。流血もあり、視聴者は脳震盪など頭に何かトラブルが起きたでは?と心配していたと思いますが、本人曰く倒れた瞬間氷にお腹(肋骨)を強打。頭では起きようとしているけど、お腹が痛すぎて起きられなかったようです。ちなみに、フィギュアスケーターが初心者の頃、前のめりに転んでお腹を打つことは必ず一回はあるそうです。その痛さがハンパないらしいのですが、今回の事故はその転倒の20倍ぐらいの痛さだったと羽生選手は語っています。
羽生結弦が事故の間に考えていたこと
羽生選手は氷の上で動けずジッと横になっていましたね。羽生選手は天井を見上げながら「レフリー笛ならしてくれないなぁ」「みんな練習してるなぁ」「でも痛てぇなーー」などいろんなことを考えていたそうです。脳震盪とかで意識が朦朧としていたのかなと思っていたので、この事実は意外でした。(っていうか、倒れてから放置されすぎでしたね)
そして、しばらくして中国のドクターチームが担架を持って駆けつけ「大丈夫?歩ける?」と尋ねた時には、『いや、いいよ。ってか、そんなんいらんし。俺フツーに(競技)出るし』心の中でつぶやきつつ「大丈夫です。普通に歩けるから。」と担架を制止したそうです。
そして、羽生選手はリンクの外まで足を引きずりながら歩いていきました。衝突した際の衝撃で左足の筋肉が肉離れのような症状になっていてとても痛かったようです。
その後、アメリカのドクターチームに処置を受けている間のエピソードも語っています。脳に影響がないかを見るために100からどんどん7ずつ引いていくという問題を出されて「ただでさえテンパっている中で難しい質問されて、しかも英語で答えないといけなくて、エッ?エッ??」と戸惑ったそうです。結局すぐには答えられそうになかったので「そんなん答えられないし。でも意識があるから大丈夫だよ。」と答えたそうです。テンパっていると言えどもそんなふうに機転を利かせることができたなんて、羽生選手はあんな状況の中でも冷静に事態に対応しようとしていたんでしょうね。
羽生結弦が執念の演技中に考えていた意外なこと
ボロボロの身体と真っ青な顔でリンクに戻ってきた羽生結弦選手は転倒するものの4回転を回り切るなど信じられない演技を滑りきりました。まさに迫真の演技でしたね。本番前には「回るだけ回ろう。アクセル一本ぐらい入れよう」そう考えてリンクに立ったそうです。
世界王者羽生結弦選手のジャンプについての考えは「(仮に跳べる気がしないいジャンプでも)とりあえず跳ぼう」だそうです。理由はパンクさえしなければコケても基礎点が入るからということですが、この大会でもまずは基礎点をとって少しでも得点を重ねることが競技者としての最優先事項だと感じたのかもしれませんね。
しかし実際は、特に左太ももがめちゃめちゃ痛くて相当辛かったようです。特に一瞬で終わるジャンプよりもシットスピンが地獄だったと言っています。演技中「シットスピンやりたくね」「シットスピンやって本当に立てるのかな?」と不安を募らせていたそうです。
確かに倒れた直後も、演技の後も足を引きずってましたから相当辛かったのが分かります。しかし、演技中はそんな様子を感じさせずシットスピンをこなしていましたよね。羽生結弦選手の根性に頭が下がります。
では、最後に2014GS中国杯の羽生結弦選手FS「オペラ座の怪人」の演技です。羽生選手の当時の心境と照らし合わせて観るとひと味も二味も違って見えます。
演技後、ブライアン・オーサーコーチがとにかく心配していますね。オーサーコーチはアメリカのドクターチームと事細かにやり取りして英語が堪能ではない羽生選手をサポートしてくれたそうです。この一件で二人の絆が更に深まったのかもしれませんね。
そして、羽生選手の涙は印象的でしたね。普段からよく泣くという羽生選手ですが、この時は悔し涙ではなく本気の号泣をしたそうです。悔しい気持ちもあると思いますが、安心した気持ち、辛かった気持ち、自分を支えてくれている人への感謝、結果を残せた嬉しさなどなど、いろんな気持ちが合わさった涙なんでしょうね。
2015グランプリシリーズももうすぐ開幕します。今年は羽生選手だけでなくどの選手にもこんなアクシデントが起こらない平和なシーズンになって欲しいです。
そして羽生結弦選手には不屈のチャンピオンとしてタイトルを総なめしてくれることを願います!