フィギュアスケート選手にゲイが多いと言われる理由とは?




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フィギュアスケート選手にゲイが多いと言われる理由とは?

2021年6月12日、アメリカの男子フィギュアスケーター、ジェイソン・ブラウンがゲイであることをSNSでカミングアウトしました。実はフィギュアスケートにはゲイの選手が多いというイメージを抱いている人が少なくないようです。実際に、ジェイソン・ブラウンのようにゲイの選手がいるのも事実ですが、ゲイではない選手の方が多いはずです。ではなぜフィギュアスケート選手にはゲイが多いと言われているのでしょうか?

フィギュアスケート選手にゲイが多いと言われているのはなぜ?

フィギュアスケートは華やかなスポーツです。男子選手の演技でも、しなやかな美しさにハッとさせられたことはないでしょうか?

とはいえ、美しいフィギュアスケート選手の演技を見て、彼はゲイに違いないと決めつける日本人は少数派ではないでしょうか?

日本には世界で戦えるトップレベルの男子選手も多いため、選手のジェンダーがどうだということよりも、アスリートとしての能力を評価し、応援する人が多いように感じます。

しかし、海外、とりわけアメリカやカナダでは男子フィギュアスケーターにはゲイが多いという固定観念を持つ人が少なくないようです。


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北米ではフィギュアスケートは”ゲイのスポーツ”

北米ではアイススケートの文化が根付いています。

女子フィギュアスケートは現在はロシアや日本にリードを奪われているものの、アメリカやカナダは長年に渡って実力ある女子選手を輩出しており、90年代の黄金期には試合を中継すれば必ず高視聴率が取れる超人気スポーツでした。

しかし、男子においては話は別。

アイススケートが盛んといっても、男子にとってメジャーなスケート競技はアイスホッケーです。

アメリカやカナダでは、アイススケートが好きな男の子ならアイスホッケーをするというのが”普通”なのです。

いっぽう、フィギュアスケートを選ぶ男の子はレアケース。



アイスホッケーといえば、氷上の格闘技と言われる激しいスポーツですよね。繊細な表現力を要するフィギュアスケートとは対極にある競技です。

そんなわけで”男らしさ”と人気を兼ね備えたアイスホッケーではなく、中性的でマイナーなフィギュアスケートをあえて選ぶということは、ゲイなのではないか?と勘ぐる人がいるわけです。



ゲイだったら何が問題なの?という話ですが、北米は宗教上の理由などもあり、日本以上にゲイや同性愛者に差別的な風潮があるのです。

だからこそ、ゲイを思わせるような男子フィギュアスケートの人気はかなり低いようです。


その証拠に、現在の男子フィギュアスケートの世界トップに君臨するのは、アメリカのネイサン・チェンなのですが、それにも関わらず、試合の生中継はほぼ行われていません(有料放送除く)。

北米の”ゲイイメージ”と男子フィギュア選手の共通点とは?

北米ではファッションでゲイを見分ける人もいるようです。

ゲイと印象づけるファッションの特徴は以下の通り

・タイトな洋服

・胸やお腹の筋肉を露出

・キレイ系のおしゃれな洋服

実はこれらのポイント、男子フィギュアスケーターの衣装にも当てはまるんですよね。

ジャンプが跳びやすいように特に下半身はタイトなパンツですし、胸元が広く開いていたり、シースルーでボディーラインが透けている衣装も珍しくありません。

さらには、フリルやビジューが施された美しい衣装も一般的です。



フィギュアスケートファンから見たら当たり前の衣装なのですが、アメリカなどのゲイに差別的な人から見ると、男子フィギュアスケート選手はゲイに見えるようです。


それに加えてフィギュアスケートの醍醐味であるしなやかな所作もまた”ゲイ要素”を高めているようですね。

ちなみに、ネイサン・チェンなど欧米の一部の男子選手は衣装が極端にシンプルなのですが、ゲイと印象付けられないようにするためでは?という推察もあります。

フィギュアスケート界にはゲイを公表した人物も多い

ここまでは憶測の理由でしたが、実際にフィギュアスケート界にはゲイであることをカミングアウトした選手や関係者が多いという事実もあります。

ジェイソン・ブラウンのカミングアウト

フィギュアスケートの15年全米王者ジェイソン・ブラウンがインスタグラムを更新し、自身が同性愛者であることを公表した。

ブラウンは「Love wins」とのメッセージが書かれた壁をバックに寝そべる写真を投稿。その上で、LGBTQに対する価値観をつづった。

「自分はLGBTQ+のロールモデルに囲まれて育ちました。自分の、LGBTQ+であることに関する考え方は単純ではありません」と切り出した。 「特定のグループの人々をステレオタイプでくくるのは危険だと常々思っています。自分が会ってきた人はそれぞれ違いました」「自分のセクシュアリティについて疑問に感じたことはありませんでした。自分は自分で、幸運にも、それを認めてくれる人に囲まれてきたからです」などと記した。

「歴史は時に優しくないし、平等と認められるための戦いは現在も続いています。自分の人生が(以前の時代の人々のものよりも)良いものであるのは、自分自身が誰なのか勇気をもって公表した人々がいるからです」とし、最後に「愛は常に勝つと思います。私はゲイです」とつづった。

https://news.yahoo.co.jp/articles/44bc1c2abddad09ddbb1fe34921edf4d467d8a6a

日本のフィギュアスケートファンの多くは「あれ?いままで公表してなかったけ?」というほどごく自然にジェイソン・ブラウンのセクシャリティを受け入れています。

しかし、実はこの日、自分のセクシャリティをカミングアウトしたフィギュアスケーターは彼だけではありませんでした。

2014年と15年のグランプリファイナルを連覇したカナダの女性アイスダンサー、ケイトリン・ウィーバーは自身がクィア(性定義が明らかでない、定めていない)であることを、そして同じくカナダのアイスダンサーで世界選手権銅メダリストのポール・ポワリエもまた自身がゲイであることをカミングアウトしました。

ゲイを公表したフィギュアスケーターたち

ジェイソン・ブラウンやポール・ポワリエだけでなく、過去には多くのフィギュアスケーターがゲイであることを公表してきました。

全てを紹介できませんが近年では、アダムリッポン(アメリカ)、ジョニー・ウィアー(アメリカ)、エリック・ラドフォード(ペア・カナダ)、ギヨーム・シゼロン(アイスダンス・フランス)らがゲイであることを公表しています。

また、羽生選手の振り付け師としておなじみのジェフリー・バトルは男性と結婚していますし、コーチのブライアン・オーサーもゲイであることを認めています。

全てのゲイスケーターが公表しているわけではないことと、競技人口の少なさを考えると、たしかにフィギュアスケーターにゲイが少ないとは言えないでしょう。ただし、カミングアウトしている人の多さですと、他のスポーツを凌ぐかもしれませんね。


とはいえ、先程のケイトリン・ウィーバー以外にも、アンバー・グレン(アメリカ)や村主章枝さんもバイセクシュアルであることを公表しているので、ゲイだけが特別に多いかどうかは不明です。

結論:フィギュアスケートはゲイのスポーツと言われる理由は文化的背景と、公表者の多さだった

フィギュアスケートがゲイのスポーツであると言われるのは、北米の同性愛者に対する差別意識の強さと、公表する人の比率が他のスポーツよりも多いということでしょう。

しかし、公表してきた彼らの存在があるからこそ、世界は少しずつLGBTQへの理解を深めています。

そもそもフィギュアスケートはスポーツでありアートであるわけですから、演技をする人がLGBTQであるか否かは評価には関係がないはずです。

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大切なのはアスリートと表現者としての能力です。ゲイであってもなくても中性的な表現に長けた男子選手もいれば、荒々しい男性的な演技が得意な選手だっています。

性的マイノリティの人々が「勇気を出して公表」する必要がないほど、セクシャリティが個性の1つと捉えられる日が来ますように。








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