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三原舞依の海外の評判は?国際大会で点が低い理由とは?

2017年12月21日

2016-17シーズンにシニアデビューを果たし、宮原知子選手の怪我中には日本女子をエース級の活躍で牽引した三原舞依選手。彼女のピュアなスケーティングは世界中のファンや関係者を虜にしました。しかし、オリンピックシーズンの今年は国際大会で思うような成績が修められていない現状です。一体なぜなのでしょうか?

絶好調だったJOから一転グランプリシリーズは伸び悩む

三原舞依選手のシーズンの幕開けは好調でした。

夏のアイスショーやオータムクラシックを経て演技に磨きをかけ、ジャパンオープンでついにFSスコア147.83をマーク。非公式ながらシーズン本格開始前に自己ベスト(日本記録)を更新したのです。

三原選手持ち前の美しいスケーティングに加え、昨シーズンから一皮むけた表現力に驚かされた人も多かったのではないでしょうか?

スコアは盛られていた感もありますが、それにしても記憶に残る素晴らしい演技でした。

 

しかしグランプリシリーズでは参加した2大会で共に4位。

中国杯ではショートプログラム直前練習で他選手との接触アクシデントがあったり、フランス杯では同じくショートプログラムの冒頭のジャンプをフェンスの近くで跳んでしまい、フェンスに手をついてしまうアクシデントもありました。

 

安定感がウリの三原選手なら今シーズンの演技内容であれば少なくとも表彰台を期待していた人も多かったのではないでしょうか?

 

弱点はショートプログラムか

今季の三原選手はショートプログラムで新たなジャンルに挑戦しています。そう、タンゴです。

タンゴ自体、女性の妖艶さや力強さが求められる音楽なので日本の女子高生が滑るのはとても難しいジャンルです。

そのうえ、プログラムを振り付けたのは今ノリにノッている若手振付師のブノワ・リショー。

彼の振り付けは独特で細やかな動きを多用します。

とくにステップは三原選手くらい高いスケート技術が無いと滑りこなせないのではないでしょうか?

三原舞依&坂本花織2018平昌へ挑む新プログラムと振付師ブノワ・リショーとは

三原選手が今シーズン、リベルタンゴに挑むと発表されると反対意見が多く上がりました。

なぜならタンゴという音楽は彼女の持ち味の透明感や少女らしさとは対極のプログラムだからです。

しかし、三原選手自身は昨シーズンの経験から表現力(演技構成点)を伸ばさなければオリンピックシーズンは戦えないと実感したのでしょう。背伸びだろうがなんとしてでも大人の表現力を身につけてやろうという意気込みが伝わってきます。

次の動画は三原選手のリベルタンゴを比較したものです。

はじめが夏のアイスショー、ドリーム・オン・アイスで初お披露目したリベルタンゴ、そして二つ目が一番最近のグランプリシリーズ・フランス杯のリベルタンゴです。

 

動きが洗練されているように思いませんか?

ちなみにフランス大会のスコアが64.57。

冒頭のコンビネーションの2つ目のジャンプがダウングレードで2回転判定になったのと壁への接触を考慮すれば仕方がないかなという点数です。

 

ノーミスなのに伸びないFS得点に海外でも疑問の声

昨シーズンの三原選手は、たとえショートプログラムでミスをしても持ち前の安定感でフリーで挽回する選手でした。

今シーズンもフリーは比較的安定しており、本人もガッツポーズで終われる演技もあるのですが、キス・アンド・クライで本人が首をかしげるほど肝心な点数が伸びていません。

今シーズンの公式戦ではトップクラスの選手が140点台をバンバン叩き出す一方、三原選手はノーミスでも140点に手が届きません。

三原選手より構成の難易度を下げた選手や、明らかに大きなミスをした選手よりも点数が低い現状に、海外のフィギュアスケートファンも

「ジャッジは何を見ているの?」「この演技で140点出ないならどうすればいい?」「ひどいミスをしたオズモンドより点が低いなんておかしい」「マイは最もアンダースコアをつけられている」と不満タラタラの様子です。

FS「ガブリエルのオーボエ」は本人のイメージに合った曲と振り付けで、スケーティングの美しさも堪能できる素晴らしいプログラムなのにファンとしたら悔しいですよね。

 

スコアは昨シーズンより伸びている?

三原選手は次々と記録を塗り替えてきたイメージが強かったのですが、過去の成績を見ると今シーズンに極端に下げられているというほどのスコアでは無いことがわかりました。

昨シーズン、個人公式戦でのスコアを見ると、

優勝した四大陸選手権で200.85(SP:66.51 FS:134.34)

フリーで大逆転した世界選手権で197.88(SP:59.59 FS:138.29)

 

今シーズングランプリシリーズが

中国杯206.07(SP:66.90 FS:139.17)

フランス杯202.12(SP:64.57 FS137.55)

 

意外に昨シーズンの個人戦ではSP70点にもFS140点にも達していないんですね。

昨シーズン最終戦の国別対抗戦218.27と今シーズンはじめのジャパンオープン147.83(フリーのみ)は団体戦なのでお祭りのような意味合いも強く、そのうえ開催国が日本なのでご祝儀相場的に点数が盛られていると考えられます。

これをふまえて、昨シーズンが終盤戦で今シーズンが序盤戦のスコアだと考えると、極端に成績が落ちているということもなく、むしろ伸びているように感じます。

ですが私個人としては彼女の技術は世界屈指だと思っているので、点数爆上げ傾向のあるオリンピックシーズンに彼女だけ取り残されているのはちょっと納得できません。

三原舞依が伸びないのはジャンプ?表現力?それとも…

以下は私の推測なので興味ない人は飛ばしちゃってください。

 

三原選手のプロトコルと他の選手のものを比べて色々考えてみました。

本人も納得の出来だったフランス大会フリーの演技です(フランス大会女子フリープロトコル

 

まず気になったとこはジャンプのGOE。

三原選手はトータル的に技術の高い選手ですし、ジャンプに関しては振り付けに溶け込むように力みなく美しいジャンプが跳べる選手だと言われています。他の上位選手は5本以上のジャンプにプラス1以上のGOEはが付いているのに対して三原選手は2本だけ。ちなみに昨シーズンの世界選手権で、三原選手は5本のジャンプに+1以上のGOEはをもらっています。

なぜ三原選手のジャンプの評価が渋いのでしょうか?

その理由はライバルにあるのではないでしょうか?

フランス大会の上位にはザギトワ選手、ソツコワ選手、オズモンド選手らがいました。

ザギトワ選手はご存知の通り後半にキレッキレのジャンプを軽々と跳びます。ソツコワ選手とオズモンド選手は高さのあるダイナミックなジャンプが跳べる選手です。

このようなインパクトの有るジャンプとくらべると、三原選手の丁寧で美しいジャンプはもしかしたら印象が弱く、点が伸びにくいのかもしれません(第1グループだった影響も否めませんが。)

同じ日本勢でも今シーズン急成長を遂げた坂本選手と樋口選手は共に豪快なジャンプが跳べる選手です。今シーズンはザギトワ選手やディレイジャンプが跳べるツルスカヤ選手などがシニアに上がってきたこともあり、昨シーズン以上に今シーズンはジャンプの大きさが点数に直結する流れがあるのかもしれません。

 

そして演技構成点。

かねてより演技構成点では苦戦していた三原選手。今シーズンは進化が見られるものの、やはり欧米の大人っぽい選手たちと比べて感情表現や所作、雰囲気の作り方などはまだ改善の余地が十分あると思います。

演技構成点のなかで最も低いのがつなぎの 7.64点。トップクラスの選手は各項目8点以上出しているので極めて低いように感じます。

昨シーズンの世界選手権でも三原選手はつなぎのみ7点台でした。これは振り付けが影響しているのでしょうか?

 

そしてスケーティングスキルの低さも気になるところです。 三原選手が8.14。優勝のザギトワ選手が 8.57、オズモンド選手は 8.86です(転倒したのに)。

少なくともザギトワ選手のスケーティングより三原選手のスケーティングの方が美しいと思うんですが、プログラムの難易度が高ければスケーティングスキルも高くなるのでしょうか?

ちなみにスケーティングスキルは滑りが上手いだけではダメで、スピードやパワーの緩急も評価対象のようです。そういう意味では三原選手にはまだまだ伸びしろがありますが、それにしてもこの点は低いような・・・見えない力が働いているんでしょうか??

ちなみに演技構成点の評価方法はこちらでまとめています。

誰でも分かるフィギュア採点方法-演技構成点(PCS)は表現力で決まらない?!

 

だらだらと書きましたが、とにかくフィギュアスケートの採点は難しい。

三原選手が去年より進化しているのは目に見えているのに、相対評価でいくと点が伸び悩むようですね。

今回のフランス大会はたしかに強剛揃いでしたが、オリンピックではそういった選手がさらに出揃うのでもっと大変でしょう。

三原選手にはただただ自信を持って笑顔で滑ってくれることを願います。








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