フィギュアスケートグランプリファイナル出場のボーヤン・ジン(金博洋)選手の強みはルッツを含めた4回転ジャンプです。彼は並外れたジャンプ能力で2018年平昌オリンピックで金メダルを取れるのでしょうか?また、憧れている羽生結弦選手との共通点についても調べてみました。
目次
ボーヤン・ジン(金博洋・きんはくよう)4回転ジャンプの秘密
シニア初参戦にしてグランプリファイナル初出場を果たしたボーヤン・ジン選手(日本読みではキンハクヨウ)。
独特の素朴な雰囲気から日本ではかわいいキャラが定着しつつあるボーヤン選手ですが、彼の武器といえば何と言っても驚異的な高さのある4回転ジャンプと前人未到の4回転ルッツと3回転トゥループのコンビネーションです。
彼は現在ルッツ、サルコウ、トゥループ三種類の4回転ジャンプを跳べます。4ルッツは現役選手の中ではボーヤン選手しか跳べません。ボーヤン選手の凄さはルッツ抜きには語れないのでまずはルッツジャンプについてお話します。(知っている方は飛ばしてください。)
4回転ルッツがどれほど難しいジャンプなのかということ
フォギュアスケートには6種類のジャンプがあります。
一番難しいのが有名なアクセルジャンプです。アクセルは他のジャンプより半周多く回らないといけないから素人でも難しさの想像がつきやすいですよね。
そしてルッツジャンプはアクセルジャンプの次に難しいジャンプなんです。
なぜなら・・・
アクセルも含め、他のジャンプは踏みきりのときのエッジのカーブと同じ方向に向かって回転します。なので助走の力をジャンプに伝えやすいのです。しかしルッツは、踏み切りの時に描くカーブと逆の方向に向かって回転します。自然の力に逆らった方向に回転するため、同じ回転数でも実質的にはよ り回転力を増してやらなければならないわけです。
出典:http://www.figureskatingguide.com/jump/lutz.html
簡単に言えば、無理ある態勢から強行するジャンプ言うことですね。
こちらがルッツがよく分かるジャンプ集です。
踏み切る直前に進行方向とは逆(外側)にエッジ(スケートの刃)を傾けているのがわかると思います。
人によって傾き度合いが違いますが、キレイに傾けるほどパワーも必要になり難易度も上がります。なのでルッツはエッジエラー(ちゃんと傾いてませんよ)という評価を受けやすいんです。
ルッツは3回転でもとても難しく、あの羽生選手も波がありますし浅田真央選手もエッジが不明確と言われています。
しかしボーヤン選手は4回転です。そして3回転とコンビネーションにしちゃってるんです。いかにすごいか分かりますよね!
ボーヤン選手の身体能力とジャンプの秘訣
4回転の天才ボーヤン選手は規格外の跳躍力とパワーを秘めているんじゃないかと思いますよね。
実はボーヤン選手のご両親は元陸上選手なので、優れた遺伝子を受け継いでいるかも知れません。
しかし、実際は陸上の垂直跳びは特別高いわけじゃないそうです。では小さい頃からジャンプをバンバン跳んでいたのかと思いきや、11歳になるまでジャンプはむしろ苦手だったそうです。
では17歳で4ルッツを習得するまでの脅威的なレベルアップの理由は何なんでしょうか?
ボーヤン選手はジャンプを感覚で跳んでいるそうです。しいていうなら恐怖心を持たずにただシンプルに「跳ぼう」というマインドセットをして挑むことだそうです。タイミングとマインドセットがマッチしてあれだけの高さが跳べるのだとか。
ちなみにジャンプにおいて参考にしている選手はいないそうです。
つまり彼のジャンプの秘訣はセンスとメンタルなんでしょうね。ってざっくりまとめてますが、彼自身も自分のジャンプを理屈で説明できないんじゃないでしょうか。
ボーヤン選手はルッツに関して競争心や恐怖心を持たず、ただ跳んでみたいという気持ちで練習していたそうです。そういう好奇心やチャレンジ精神が彼を成長させているのかもしれません。
ボーヤン(金博洋・きんはくよう)と羽生結弦 比較されてるけど共通点は?
絶対王者の羽生結弦選手とボーヤン選手、2人に共通点はあるんでしょうか?
そもそも2人のスケートスタイルは見るからに違いますよね。
羽生選手は全ての要素の難易度、質を兼ね備えて完璧にこなすスタイプ。ボーヤン選手はとにかくジャンプの技術で他を圧倒して技術点を稼いで勝ちに行くタイプです。
そのうえ実績も見た目も違う2人に共通点はあるのかな?と思ったらありました。
ふたりとも休日はインドア派そしてイヤホン集めが趣味ということです。
羽生選手はTPOによってイヤホンを使い分けるほどのこだわりの持ち主ですが、ボーヤン選手もすごいです。数えきれないほどのイヤホンを所有していて、お気に入りの8~9個をローテーションしています。
ちなみに羽生選手が好きな音楽ジャンルは邦楽ロックでボーヤン選手はテクノとかハウス・ミュージック(←何か意外ww)。ここは好みが分かれましたね。でも試合前にノリノリの曲を聞いて自分を鼓舞するのは共通しています。
平昌オリンピックでボーヤン・ジンは金メダルを狙えるのか?
少し気が早いですが、急成長中のボーヤン選手のオリンピックメダルについて気になるところです。
ボーヤン選手が2018年に金メダルを取れる可能性は無くはないと思います。ただしあと2年ちょっとの間にどの程度ジャンプが安定させられるか、そしてジャンプ以外のテクニックを磨くかによって結果は変わってくるでしょう。
ジャンプに関しては場数を踏んで、精神的にさらにタフになることができたらいうことありません。
ボーヤン・ジンの課題は表現力 そして懸念されるのは・・・
そしてジャンプ以外の要素に関してですが、現時点でボーヤン選手は本人が苦手と言っているステップやスピンに関してもレベル4が取れています。ただPCS(表現力や滑らかさなど演技構成の評価点)は他の選手より劣っています。
いくら技術点重視の選手とはいえ、演技構成面を磨かないとジャンプを少し失敗するだけで演技が大きく崩れる可能性もあるのでこの部分の向上が重要です。本人もそこを課題に上げているのでシニアの強豪選手から学んで今後さらに成長してくるでしょう。
追記:四大陸選手権2016に出場したボーヤン選手の表現力がずいぶん向上した印象です。とはいえ羽生選手や宇野選手レベルにはまだまだ及びませんが。この数ヶ月の変化に正直驚いてます。来シーズンはさらに一皮むけるかも?
もっとも重要な懸念点は
一番心配なのはケガです。まだ若いボーヤン選手は発達途上の状態です。そんな彼が4ルッツのような激しいジャンプをジャンジャン跳んでいることが後々彼の体にどう影響していくのか誰にも分かりません。
今後、体が出来上がってくるとともにジャンプもパワーアップすることを願います。
実際のところ・・・強力なライバルたち
ボーヤン選手が金メダルを取れるポテンシャルを持っているとしても、それ以上の才能の羽生結弦選手がいますからね。
羽生選手も2018年までのビジョンを、急成長中のボーヤン選手ありきで描いているでしょうし、羽生選手の完璧主義は他の選手の比じゃないですからね。
ボーヤン選手自身、羽生選手の演技を目の前で見て「自分も頑張れば300点を超えることができると思うけど322点は想像もできない」と感じたようです。
なので実力で金メダルが取れるとすれば、2022年の北京(母国)で開催予定の冬季オリンピックじゃないかと思います。しかし同世代の宇野昌磨選手の成長も気になるところです。
ボーヤン選手のライバルをチェック!
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