空手組手女子61キロ超級の日本代表・植草歩選手が帝京大空手道部師範の香川政夫氏をパワハラで告発した問題は、帝京大の調査によりパワハラのような行為は見られなかったという結論に至りました。
この問題に対して、加害者とされた香川氏は植草歩選手の日頃の素行不良があったと反論しました。しかし、植草歩選手の素行不良の具体的な内容の一つが海外遠征に「ピンクのシューズを履いてきた」というもので、それの何が問題なのか?と世間では話題になっています。一見問題無さそうなピンクのシューズにどんな事情が隠されているのでしょうか?
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植草歩のパワハラ被害問題が一区切り 加害者側は植草の素行不良を問題視
かつての愛弟子に何を思うのか。空手の東京五輪組手女子61キロ超級代表の植草歩(28=JAL)が、全日本空手道連盟(全空連)前強化委員長で帝京大空手道部師範の香川政夫氏(65)からパワハラを受けたと告発したことを受け、植草の母校・帝京大は空手道部に関する調査報告書を10日に発表。「暴力的な指導にあたる行為は認められない」との見方を示した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/fabe8741fa2c29efdd3ff7f2064ef08611c26b70
この帝京大の調査報告によって、植草歩選手のパワハラ被害問題は一区切りとなりました。
疑いが晴れた香川政夫氏に関しても、帝京大空手道部の監督を継続することが正式に決まりました。
大学側がどの程度踏み込んだ調査をしたのかは定かではありませんが、オリンピックを目前に控えるこの時期に一応事態に区切りが付いたことでホッとする選手や関係者も多いのではないでしょうか。
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問題の発端は植草歩指導者側のすれ違い?
パワハラが無かったとすれば、そもそもの騒動の発端は何だったのでしょうか?被害者とされた香川政夫氏は、パワハラ問題が持ち上がった当時、わけが分からなかったそうですが、問題のきっかけをこのように推測しています。
彼女はただ単に科学的なトレーニングをしたかったということだと思う。私にそれを話せば済むことなのに、なぜ訴えたのか。(植草の代理人弁護士は)竹刀が騒動の原因じゃないと言っていたみたいだが、それを持ち出したのは彼女側。科学的なトレーニングをしたいならはっきり言えばいいし、それを言えば「どうぞ好きなようにやってください」と返していた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/fabe8741fa2c29efdd3ff7f2064ef08611c26b70
トレーニング方法に疑問を感じた植草歩選手側が、一方的にフラストレーションを溜めていたとのではないかということです。
植草選手が様々なトレーニングに対して好奇心を抱いていたことは香川氏も感じていたようです。しかし、スランプに陥ったときこそ基本に立ち返った練習が重要だと考える香川氏と、新たな方法を模索する植草選手の間にすれ違いが起こってしまったとのこと。
香川氏は植草歩の素行を問題視
空手界のエースとして活躍する植草歩選手ですが、それゆえに普段の生活に乱れがあったと香川氏は苦言を呈しています。
自分は特別だっていう感覚があったよね。自分は空手界の広告塔でやってきたという自負というか、何をしても許されるっていうおごりがあったんじゃないかな。だから平気で遅刻したり、集団行動をとらなかったりしていたのでは。今回も(4月の国際大会で)リスボン(ポルトガル)に行くときにピンクのシューズを履いて集まっていた。そんなの普通は考えられない。
https://news.yahoo.co.jp/articles/fabe8741fa2c29efdd3ff7f2064ef08611c26b70
香川氏曰く、植草選手は空手が五輪種目に決まり、個人的にスポンサーが付き、メディアでも取り上げられる機会が増えてきた頃から、植草選手の素行に問題が現れるようになったそうです。
空手は個人種目とはいえ、仲間とともに練習に取り組んだり試合に臨むわけですから、象徴的な選手の行動の乱れは他の選手にもいい影響は与えないのかもしれませんね。
そういう意味では植草選手の遅刻や集団行動をしないという点は決して褒められるものではありません。
ですがこの香川氏の発言の一部が現在、世間から注目を集めています。
「ピンクのシューズを履いて集まっていた。そんなの普通は考えられない。」
この一文。あなたはどう解釈しますか。
靴の色なんて問題になるの?と思うところですが、一体ピンクシューズの何が悪いのでしょうか?
植草歩のピンクシューズ批判こそパワハラ?
香川氏の言葉をストレートに解釈すると、国際大会に向かう際に、植草歩選手がピンクのシューズを履いていたことが考えられない非常識な行動だと捉えられます。
なぜピンクのシューズが問題なのかということについて理由に触れられていないので、理由も無いのに非常識な行動だったと判断されるのは、まるで中高生の野球部の坊主頭のような理不尽な規則のようにも思えます。
学校の部活動に関しては、部内の規律という意味で生徒たちが納得しているのであれば、必ずしも廃止しなくても問題ないでしょうが、植草選手は28歳の立派な大人です。他の選手達も部活動のような規律で縛らなくても自己管理できる年齢でしょう。そんな選手たちの靴の色にまでとやかく言うのは、令和の時代の感覚と大きくずれているように感じますし、それが理由で人格を否定されるという行為自体に圧力を感じざるを得ません。
「ピンクのシューズの何が問題なの?」と感じた人たちは、その香川氏の発言そのものにパワハラの要素があると感じ、違和感を覚えているようです。
ピンクシューズ批判の裏にはビジネス面の理由が?
香川氏のピンクシューズ発言には、何が問題なのかという明確な理由が述べられていませんでした。ですが、もし何らかの理由があるとすれば、それはビジネス的な事情ではないかと推察されます。
各スポーツの日本代表チームやプロチームは、海外遠征などに赴く際にはお揃いのスーツやジャージを着用することが多いですよね(オフィシャルウェア)。これはチームのオフィシャルスポンサー(提携ブランド)のPRという意味合いがあり、スポンサーと服装について契約を交わしているためです。
空手代表も同様であれば服装に決まりがあったはずです。おそろいの服装は靴まで指定される場合もあるのですが、もし空手代表にも靴の規定があったとしたら、他の選手と異なるピンクのシューズを履いた植草選手はまさ規定違反となりますよね。
仮にピンクのシューズが代表チームの提携ブランドの競合ブランドのシューズだったのであればまさに”普通は考えられない”行動といえるでしょう。
スポンサーはスポーツにとって欠かせない存在ですから、もしこのような事情があったとすれば、植草選手の行動は自分勝手だと批判されても仕方ないのかもしれません。
ピンクシューズの一番の問題は説明不足
植草歩選手のピンクのシューズ問題の裏事情を考察しましたが、世論は”理不尽な規則だ”という意見と、”スポンサー絡みの事情だ”という意見に分かれています。
いずれにせよ、香川氏の発言からはその真意は見えてきません。もしかすると、香川氏のインタビューを記事に起こした際に、ライターがその説明部分を省略した可能性もありますが、”ピンクのシューズ”という単語があまりに印象的なだけに、世間に誤解を与えないような説明をすべきだったのではないでしょうか。
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解釈によって香川氏サイドも植草選手サイドも悪者になりかねないエピソードですが、我々世間は、真相が明かされない限り結論を決めつけずに、いろいろな可能性があるということを理解しておきたいですね。