ソチオリンピックのあと不調に陥り、日本ではなかなか話題を聞かなくなったロシアのフィギュアスケーター、リプニツカヤ選手。クールな態度とかわいいルックスで日本人にも人気の彼女がロシア選手権で普段見せない貴重な姿を見せました。
感情を表さないリプニツカヤが人前で泣き崩れた!
リプニツカヤ選手といえば普通に話していてもどこかムスっとしていて不機嫌そうだし多くを語らない。
一方で憧れの浅田選手を前にちょっとデレッとしたり、練習を妨害する海外のメディアにスバッと釘を指したりなど、正直な性格は私達日本人からも好感を持たれていますよね。
リプニツカヤ選手のクールな態度は全て彼女の超絶シャイな性格に依るものなんですけど、そんなシャイな彼女は人前で感情を爆発させることってあまりないと思いませんか?
演技後、大勢の観客を前に肩を震わせて泣くリプニツカヤ選手。しばらく顔をあげられません。
じつはこれまでにも演技後に涙をみせることはありました。負けず嫌いの悔し涙です。
でも今回のように感情がブワッと溢れだしたような涙は珍しい。。。しかも、試合半ばのSPの直後です。
じつは、今回の号泣は
うれし涙だったんです。
2015-16シーズンのロシア選手権ショートプログラム(SP)でリプニツカヤ選手は会心の演技をしたんですねー。その時の様子がこちら↓
リプニツカヤ選手には珍しく最後の決めポーズの時から感極まっていますね。
リプニツカヤの涙の理由とは?
リプニツカヤ選手はソチオリンピックの翌シーズンから今シーズンにかけて、成長期によりジャンプの不調に陥っていました。
かねてから天才ともてはやされ、そのうえ負けず嫌いな性格のリプニツカヤ選手にとって2シーズンに渡ってなかなか満足行く演技ができていないという事態は想像もつかないほど辛かったんではないでしょうか。(不調についてはこちらの記事を:リプニツカヤ成長期で超美人に↔太ったし不調は続く?)
そんな中ようやくトンネルの出口が見えたような今回のノーミス演技です。
しかもさすがのリプニツカヤ選手。国内の大会とは言え73点超えの超ハイスコア。そして冒頭にサラっと3回転ルッツをタノ(片手上げ)で跳んでいるのはスゴイ!さらにジャンプが不安定ななか3-3のコンビネーションを後半に持ってきたことにも驚きです。
あのクールなリプニツカヤ選手でもあふれる感情が抑えられなくなるのも無理ないのではないでしょうか?
そして涙の理由をもう少し掘り下げて考えてみました。
まず、今回の不調はリプニツカヤ選手の選手生活の中で一番大きな挫折だったんじゃないでしょうか。彼女は貧しい家に生まれたり、ソチオリンピック女子シングルでメダルを逃したりとこれまでも苦労してきましたが、体の成長のように彼女の実力を持ってしてもどうしようもない事態は初めてだったと思います。
そして、彼女はグランプリシリーズ終了後に長年チームを組んでいたエテリ・トゥトベリーゼコーチと決別し、アレクセイ・ウルマノフ新コーチのチームに加わりました。
シーズン途中に練習環境を一新することには相当勇気がいったはずです。それほどまでして状況を打開したかったんでしょう。
さらに今大会の開催地は彼女の生まれ故郷エカテリンブルク。地元ならではの声援を受けた反面、地元だからこそ結果を出さねばという気負いもあったはずです。
つまり、ソチ五輪からロシア選手権に至るまでにリプニツカヤ選手は自信のコンディションの不調や環境の変化、若手の台頭などさまざまなプレッシャーを背負って戦ってきたんですね。
そんな中でようやく光を見出した。彼女の涙には喜びだけでなく、安堵、希望、意地、取り戻した自信など、以前には感じたことのない感情が込められているのではないかと感じました。
リプニツカヤ ついに完全復活か?!
ロシア選手権SPで73.77という高スコアをマークしたリプニツカヤ選手(それでも3位なんておそロシア)。その後フリースケーティングでは10位と振るわず総合7位に終わりました。これにより2016年の世界選手権、欧州選手権の選考からも外れてしまいました。
ということでまだまだ完全復活とは言えなそうですね。。。
しかし練習環境を一変して大きな大会ですばらしい演技ができたことはリプニツカヤ選手にとって転機になったに違いありません。来シーズンかその次のシーズンあたりに安定した演技を取り戻すんじゃないかなと予想しています。
スピンは現在も別格ですから、今度はこれぞシニアという”魅せる”演技を期待したいところです。そして以前のリプニツカヤ選手のように成長期の前にトップレベルに上り詰めている多くの後輩たちにシニアの意地を見せてくれることを願っています。
若手に負けるな、シニア組!!
リプニツカヤ選手の移籍についての記事はこちら↓
2016-17シーズンは復活の兆し?