5度目のグランプリファイナル出場を果たしたアシュリー・ワグナー選手。力強い迫力のある演技は他の選手にはない魅力があります。リンク上ではとても気の強そうなワグナー選手ですが実際の性格はどうなんでしょうか?
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アシュリー・ワグナーいつもドヤ顔だけど怖いの?
アシュリー・ワグナー選手といえばグレイシー・ゴールド選手と並んでとても美人なスケーターですが、演技中のドヤ顔は女子界ではナンバーワンじゃないでしょうか?
演技の出来や結果はどうあれ「私が一番よ!」と聞こえてきそうな自信満々のオーラは、日本人ちょっと強烈で近づきがたい印象を抱いてしまいがちです。
しかし彼女のドヤ顔には理由があるようです。
アシュリー・ワグナーがドヤ顔に込める意味とは
アシュリー・ワグナー選手は3度全米女王に輝き、世界大会でもメダルを数多く獲得してきたアメリカを代表する女子フィギュアスケーターです。最近はグレーシー・ゴールド選手の勢いに押され気味ですがそれでもワグナー選手が現在のアメリカのフィギュア界を牽引している存在であることには変わりありません。
この事実が彼女のドヤ顔に大きく影響を与えているようです。
ワグナー選手はソチオリンピック代表選考会を兼ねた2014年全米選手権で4位に終わりました。しかし、これまでの功績を加味して異例の代表に抜擢されたのです。
その決定に不満や疑問を抱く人も多くいましたが、ワグナー選手本人は誰よりもやりきれない気持ちを抱えていました。
そして、言い訳をせず批判を全て受け入れこう語っています。
「私はみんなが見ている場で強い姿を見せることができませんでした。みんなが見ている前でしっかり強い姿を見せることができる人が、スケートでは必要とされているのに」
つまり彼女が思い描く、国を代表するスケーター像というのはリンクの上で常に強い姿を見せられる人のようです。
そしてこんなエピソードもあります。
ワグナー選手はオリンピックの開催国であるロシアの反同性愛法に抗議する発言をしました。この勇気ある発言に感謝したLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)の人たちが全米選手権会場に訪れ彼女を応援したのですが、それを受けたワグナー選手の発言です。
「たくさんの人が私にありがとうと言いに来たんです。LGBTのコミュニティーの人たちから応援してもらえて、すごくうれしいです。
でも、私が何か特別なことをやったわけでもないんですけどね。(ワグナー選手の発言を)誇りに思いますなんて言われて、私はよけいに(スケーターとしての)原点を見失わないようにしなきゃと思ったんです。それが私のなりたい姿ですから」
つまり人に感謝されたり、誇りに思ってもらえるようなスケーターが彼女の理想像のようです。
ですから彼女のドヤ顔には彼女自身の誇りとアメリカフィギュア界のリーダーであることの責任感が込められているんだと思います。世界一奥深いドヤ顔かも知れません(笑)
これらのエピソードを聞いて私はワグナー選手をいっそう好きになりました。
アシュリー・ワグナーはいい人
アシュリー・ワグナー選手は実はいい人です。
同じく全米選手権の話ですが、4位で終わってオリンピックが絶望的になった状況でも、彼女は上位3人の選手に一人ひとり声掛けを行いました。とくに一位のグレイシー・ゴールド選手には長く話しかけ「今夜のスターはあなただった」と讃えました。
彼女がいかにリーダーの自覚を持っていると言え、悔しさを置いて相手を称えることは容易ではなかったと思います。
また彼女は気さくな性格の持ち主で、来日した際にもファンがサインを求めた時にとても感じ良く応えてくれたという証言をしています。
アシュリー・ワグナーは苦労人で努力家
ワグナー選手は軍人の父親と元教師の母親の間に生まれました。そして軍人の父親の教育方針で自立心を育みました。自ら奨学金に申し込み、そしてショッピングモールでアルバイトをしながらスケートにかかる費用を工面していたそうです。
そして大学では学問とスケートを見事に両立していたようです。単位獲得に厳しいアメリカの大学では練習ばかり熱心でも優遇されることはないそうですから非常に努力家なんだと思います。
自分が苦労してのし上がってきた分、人の苦労も喜べるのかもしれないですね。
アシュリー・ワグナーの演技は逆回転だけどデメリットは?
フィギュアスケートの多くの選手が反時計回りにジャンプやスピンを行うのに対し、ワグナー選手は逆回転します。
わたしのような素人が見る分には違和感を感じてしまうんですけどね・・・
逆回転といえば宮原知子選手が幼少期にアメリカから日本に移り住んだ際、逆回転を現在の反時計回りに矯正したというエピソードがありますが、実際逆回転は不利なんでしょうか?
逆回転のトップスケーターはいるのか?
日本ではほぼいない逆回転の選手ですが、アメリカや海外の選手には珍しくは無いようです。ただ、トップスケーターには少ないですけどね。
ワグナー選手の他には、ソチ銅メダリストのカロリーナ・コストナー選手やワグナー選手の前の全米女王だったアリッサ・シズニーさん、現在は衣装デザイナーとして活躍するジョニー・ウィアーさんなどがいます。
オリンピックメダリストになれるぐらいですから逆回転だからといって不利にはならないと言えます。
アシュリー・ワグナーの点数が低めな理由
アシュリー・ワグナー選手の演技は堂々としていて表現力もあるのに他の選手より点数低めじゃない?と疑問に思う方もいるかもしれません。
いったいナゼなんでしょうか?
まず、現在の女子の大技である3-3のコンビネーションジャンプについてです。優勝争いをするレベルの選手には3ルッツ-3トゥループ(基礎点10.3)という高難易度のジャンプを跳ぶ選手が多いです。また、現役では浅田選手だけですが3フリップ-3ループ(基礎点10.4)という高難易度ジャンプも跳ばれています。
ワグナー選手の3-3は3フリップ-3トゥループ。こちらは基礎点9.6と前述のジャンプより点数が下がります。とは言えこちらも難易度の高いジャンプ。質を高めて加点されれば11点超えもできるので、本来であれば前述のジャンプと十分勝負できます。現にメドベデワ選手もこのジャンプを武器に優勝しまくっていますし。
しかし、ワグナー選手はこのコンビネーションで回転不足になることが多いんです。回転不足により基礎点が下がり、出来栄えでも減点されると、例えば3Lz-3Tを回りきった選手とは3点以上差がついてしまうこともあります。また、このジャンプ以外でも一つのFSで2,3個回転不足を貰うことがあるため、素人目にはジャンプが決まっているように見えても点数が伸びないことが多いようです。
ただ、ワグナー選手が演技を上手くまとめた時にはおどろくべき爆発力があります。そして浅田選手と同様、若い選手にはない大人の表現ができる選手です。ベテランのメリットを存分に発揮して、今後も人の心を動かすような演技を見せて欲しいと思います。
ちなみに私はアシュリー・ワグナー選手の全力の笑顔も大好きです。
参考文献http://taranofsdiary.jugem.jp/