”人気商売”である芸能人がいつもマスコミにマーク(パパラッチ)されているのは有名な話です。
そして異性と接近しようものなら「待ってました」とばかりに、その写真が熱愛スクープ記事を飾ります。
インパクトの強いスクープ写真は何年にも渡って蒸し返されますし、
場合によっては、その芸能人のイメージを決めつけるほど
一枚の写真が世間に与える力は絶大ですよね。
しかし、マークしている芸能人に特ダネがない場合は、
買い物風景や子供の送迎風景など「こんな写真要る?」と思わざるを得ない日常写真が掲載されることもしばしば。
しかもそういった日常生活の盗撮写真って、
ノーメイクだったり、髪が乱れていたり、服装に気合が入っていなかったりと
被写体の本人的には全く撮られたくなかっただろうなぁと思われるものが多いですよね。
「有名人なんだから仕方ない」という意見もあるでしょうが、
有名人だからといってプライベートな時間まで写真を撮られ、
勝手に記事にされても問題は無いのでしょうか?
マスコミの”盗撮行為”は罪に問えない?!
「盗撮」と聞くと犯罪のようなイメージがありますが、
意外にも週刊誌や新聞社等が行っている「隠し撮り行為」そのものを罰する法律はありません。
しかし、盗撮行為をして逮捕されたという報道を耳にしたことがあると思います。
それは「迷惑防止条例」や「軽犯罪法」に違反している場合です。
迷惑防止条例は各都道府県の自治体により内容が異なるのですが、
芸能人が多く生活している東京都の場合を例にあげますと、
盗撮の定義は
「公共の乗り物、場所で、人の通常衣服で隠されている下着や身体を撮影する行為」を言います。
また、軽犯罪法にふれる”のぞき見”の定義は
「公共の場所以外(自宅内や更衣室、トイレ、浴室等)を覗く」ことです。
つまり、迷惑防止条例でも軽犯罪法でも、
公共の場所で洋服を身に着けている人をこっそり撮影する行為自体は
問題にならないのです。
マスコミの隠し撮りは民法違反の可能性あり!
しかし芸能人の日常生活の隠し撮りが問題になる場合もあります。
それは「プライバシー権」と「肖像権」を侵害したと判断された場合です。
プライバシー権・肖像権侵害については民法の不法行為に当たるため、
刑罰はありませんが、賠償責任が生じる可能性があります。
プライバシー権・肖像権とは以下の通り
プライバシー権とは、みだりに私生活に関する事実を公開されない権利であり、たとえば、生い立ちや家族構成、今の生活様式や場所、勤務先や交際相手などの情報がプライバシー権によって保護されます。
また、自分の容ぼうもプライバシー権の保護の対象となります。そこで、自分の写真を勝手に公開された場合、肖像権だけではなくプライバシー権の侵害も問題になり、この場合にはプライバシー権と肖像権は同じ内容となります。
ただ、プライバシー権の場合、情報が他人に知られる状況にならないと侵害にならないので、勝手に人の写真に自分の姿が写り込んだだけのケースなどでは、プライバシー権の侵害にならない可能性があります。
これに対し、肖像権が問題になるのは、写真を撮影されたり公開されたりした場合なので、勝手に撮影されて偶然自分の姿が写り込んでしまった場合などでも肖像権侵害になります。
引用元:https://www.fuhyo-bengoshicafe.com/bengoshicafe-12255.html
つまり、デート現場や買い物風景などの日常写真を公開することはアウトということです。
芸能人にプライバシー権は無い?
芸能人はその存在やプライバシーに関する情報が広く知れ渡っているため、
情報の内容によってはプライバシー権侵害に当たらない場合もあるようです。
しかし、職業が特異であっても、日本国の一市民には変わりありませんから
私達と同じ法律の元で生きています。
世間が知り得なかった情報を写真によって公開されれば、
それはプライバシー侵害になりますし、肖像権の侵害にもなりえます。
なぜ芸能人の盗撮写真は減らないのか?
盗撮写真の中には、芸能人の売名や、出演作の宣伝と思われるような盗撮写真”風”のものもありますが、
そういった一部の写真を除いて、盗撮写真を快く思う芸能人は少ないのではないでしょうか?
それに、メディア側も場合によっては裁判沙汰となる恐れもありリスクと背中合わせの行為ですよね。
それなのになぜ、芸能人の盗撮写真は減らないのでしょうか?
それには2つの理由があります。
1つ目はマスコミにとってオイシイから。
やっぱり隠し撮り写真は話題になります。
話題になるぶん、当然お金も動きますよね。
スクープ写真の効果は絶大で、たとえ訴えられて損害賠償を支払う事になっても
それ以上の利益が見込めるため、マスコミは盗撮をやめないようです。
2つ目の理由は、撮られる側にもリスクがあるから。
たとえ好感度を下げるような写真を撮られたとしても、いざ訴訟を起こそうとすると
時間も手間もかかりますし、訴訟のゴタゴタが話題になれば下手したら「お騒がせ芸能人」のイメージを世間に与えかねません。
芸能人たちは訴えるリスクを考えたら、写真一枚で被る印象操作の影響のほうが小さいため
結果的に写真の真偽やイメージの良し悪しにかかわらず、
訴えるよりも話題が沈静化するのを静観する場合が多いのだそうです。
こういった背景から、芸能人の隠し撮り写真は消えないようです。
これに加えて、近年はテレビ・新聞・雑誌離れが加速していますから、
インターネットと相性のいい”画像”がマスコミの生命線になっているのかもしれませんね。
しかし、ネットニュースのコメントには盗撮反対派の世間の声が増えています。
この風潮が高まっていけば、数年後のマスコミのスクープのあり方にも変化が現れる可能性があるかもしれません。