リーガ・エスパニョーラにおいて日本人の一番の成功者といえるのがSDエイバル所属の乾貴士選手。2016-17シーズンはレギュラーとしてエイバルに貢献しています。乾選手は所属チームのエイバルを今までで一番いいチームと語っています。気になる乾選手と選手たちとの関係や選手からの評価についてご紹介します。
乾貴士が好調なのはチームの絆のおかげ?
乾貴士選手は2016-17シーズン序盤には新加入選手の影響もあり出場機会に恵まれませんでしたが、その後レギュラーに返り咲き、2017年1月24日には大久保嘉人選手を抜いてリーガにおける試合最多出場日本人選手(通算40試合)となりました。
しかも乾選手はレギュラーを勝ち取っただけでなく、今やエイバルの中心選手となりAマドリードのシメオネ監督やFCバルセロナのルイス・エンリケ監督にも高評価の活躍を見せています。
そんな乾選手はクラブの中でどんな存在なんでしょうか?
乾貴士はチームメイトと仲良すぎ?”差別”と心配する声も…
乾選手とチームメイトの仲が分かる画像や動画を集めました。
練習の合間の一枚。すっごい楽しそう。
なんかワチャワチャしてます。
2ショット集。
クリスマス用のビデオ。乾選手シャンパンが開かずにルナ選手と爆笑しています。
乾選手いつも笑顔でチームメイトともすっかり打ち解けている様子が伝わってきますね。
チームメイトのカパ選手曰く、乾選手がいるとロッカールームが明るくなるそうです。チームのムードメーカーなんでしょうね。
ですが仲が良すぎ?なのか日本のファンからこれは差別じゃないか?と心配されるものも・・・
仲のいいステキな写真ですが・・・よく見ると・・・
乾選手の後ろのダニ・ガルシア選手。
あれ?・・・こ、これは、アジア人をバカにする常套手段、目をビーッと横に伸ばすやつじゃないか!!
しかもこっち↓なんてモロだしっ!
はいー!
バカにしてるー!笑
どーせ目細いですよー😑😑笑 pic.twitter.com/uf8Bgql7rp— 乾 貴士/Takashi Inui (@takashi73784537) 2017年1月13日
乾選手「バカにしてるー」って笑ってるし!
そして極めつけがこちらの動画
どうやら、スペインでは日本のお笑い番組「風雲たけし城」が人気で、それを再現したイタズラだそうです。
ちなみに風雲たけし城のスペイン語タイトルは「Humor Amarillo(黄色のユーモア)」。これまたスゴイタイトルですこと。
まぁそこは置いといて、動画の最後の方の「チーノ!チーノ!チーノ!」コール。これは中国人という意味で差別用語では無いんですが、スペイン語圏ではアジア人をからかったり、ちょっとバカにするときによく使われる言葉でもあります。
ちなみにある選手のインスタには乾選手との2ショットに「#nosoychinosoyjapones(私は中国人じゃない、日本人だ)」というハッシュタグが付けられていたりもします。もしかしたら乾選手は普段から「中国人ネタ」でイジられているのかもしれませんね。
これを読んで切なくなった人もいるんじゃないでしょうか。
ですが目を細くしていたダニ・ガルシア選手は乾選手の中で最も仲の良い選手の一人だそうです。いつも優しくしてくれるそうですよ。だからこそ許せてしまうんだとか。
そして実はスペインやヨーロッパの国々にはアジア人の顔マネや「中国人」と声かけるのを「ちょっと面白いでしょ」くらいの軽いノリでやる人が少なくありません。
以前下の記事で紹介したように、スペインの街中で「チーノ」「チーナ」と声かけられることなんか日常茶飯事のことです。(もちろん大半はそんなこと言いませんが。)
清武がセビージャ生活に適応するには?街の様子や日本人差別、文化について
まぁ、たとえ悪気がなくてもあまり気分のいいものではありませんよね。
(ですが日本でも、今も昔もテレビで外国人のタレントさんをイロモノ扱いして笑い者にするし、街中では白人さんの変装グッズの付け鼻が売られているし(大きい鼻にコンプレックスを抱く白人さんも多いそうです)、「この程度なら笑って許されるでしょ」っていう国独自の認識がそれぞれにあるのかもしれません。)
乾選手もスペインの現実を目の当たりにしてきて、これはいちいち反応しててもしょうがないなという次元に達しているのではないでしょうか?
そして処世術を身につけたようです。
乾が練習場でインタビューを受けている最中、チームメイトが次々に乾に声をかけていく。そのうちのひとりに「よう、ウルグアイ人!」と乾が声をかける。「違うよ!アルゼンチンだから!(笑)」そう答えるのは、ゴンサロ・エスカランテ。
引用:https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/football/wfootball/2016/04/30/post_1009/index_3.php
アルゼンチン人に隣国かつ、サッカーでは因縁のライバル国であるウルグアイ人と声かける。郷に入れば郷に従えです。ちなみにエスカランテ選手とは家を行き来するほどの関係のようですよ。
以前マジョルカに所属していた大久保嘉人選手がスペインで差別を受けたと語っていましたが、同じような経験をして嫌な思いをしたんじゃないでしょうか?
今後リーガ・エスパニョーラに挑戦する日本人選手たちには、乾選手を参考にスペイン人の”露骨かつ悪気のないからかい”を自分なりの方法で上手くかわしていってくれることを願うばかりです。
ちなみに乾選手だけがからかわれているわけでもない様子。
からかったりイタズラもするけど、その分とっても仲がいい。これがエイバルというチームなんでしょうね。
そしてその仲の良さの秘訣はチームのルールにあるようです。
- 最低でも週に3回はチームメイトとランチをとる。
- 試合前の三日間は食事管理のためにスタジアム内の食堂で全員揃って食事をとる。
これは否が応でもチームの結束が深まりますよね。
乾選手がエイバルを今までで一番気に入っているそうですが、その理由が分かる気がします。
監督やチームメイトの乾貴士への評価は?
チームのいじられキャラ乾選手ですが、彼をチームメイトはどのように評価しているんでしょうか。
WOWWOWのインタビューの内容をご紹介します。
ホセ・ルイス・メンディリバル監督
「彼は試合に出られずともい嫌な顔をせず練習に励み、プロの姿勢を貫きます。チームメイトやスタッフにも経緯を表し、とてもいい関係を築いています。
彼はチームメイトから愛されています。彼の努力を知る仲間たちのサポートもあり、彼は自信を持つことができたのです。」
ダニ・ガルシア選手(キャプテン)
「タカシはとても頭がいいと思います。スペイン語の説明を理解できるはずの選手たちより先にタカシがやり始めるんです。」
ルナ選手(左SB。乾選手と攻守にわたり連携する。)
「チームの全員が仲間になることはシーズンを通して重要なことだと思います。性格が違う人間たちが長い時間一緒に過ごすわけですからね。
タカシはまだスペイン語が完璧ではありませんが彼とはプレーしやすいです。彼は頭のいい選手です。タカシとプレーするのは大好きですよ。」
皆さん、乾選手を信頼しているのが伝わってきます。
と同時にやっぱりリーガではスペイン語話せて当然という空気も伝わります。乾選手の語学力がもっと増したらさらに進化できそうですね。
「ここまで親切にしてもらったのは初めて」と語るほどエイバルを愛する乾選手。「お世話になっているチームメイトやスタッフに恩返しをしたいをいう強い気持ち」が彼の活躍の大きな原動力になっているのでしょう。