浅田真央選手が復帰した2015‐16シーズンの全日本フィギュア選手権で2連覇を成し遂げ正真正銘の現日本女王に輝いた宮原知子選手。彼女の強みといえば抜群の安定感です。試合でミスをしないために宮原選手が行っている練習方法とは一体どんなものなんでしょうか?
宮原知子は緊張しない?
宮原選手は失敗もほとんどせず、いつも堂々と演技していますよね。そもそもあまり緊張しないタイプじゃないのかなと思ったんですが、
以前は、緊張しがちであると自身を語り、実際、試合前の緊張が演技に影響したこともよくあったという。引用:http://www.msn.com/ja-jp/sports/npb/
そして、浅田真央選手、鈴木明子さんが競技から離れた昨シーズンに日本女王に輝いた宮原選手は、今まで以上に注目されるし結果も求められてプレッシャーを感じる機会も増えていると思います。
それでもグランプリファイナル2位、全日本2連覇を成し遂げたのには秘密がありそうです。
努力の天才 宮原知子
宮原知子選手が人一倍、いや人の何倍も努力する選手だということはメディアでもたくさん紹介されていますよね。彼女の練習量は、これまでたくさんの選手を指導してきた濱田美栄コーチも驚くほどです。
もともと宮原選手はスケートが大好きな女の子でした。しかし濱田美栄、田村岳斗両コーチが声をそろえて「どんくさかった」というほど、幼いころの彼女は抜きん出た才能や運動神経も持ちあわせていませんでした。
一つのことを習得しようとすれば人よりも何倍も時間がかかる。普通ならダメだと諦めるところですが彼女にはその分何倍も練習をして食らいつくことができる芯の強さがありました。
50回練習しろと言われれば100回練習する。
スピンの練習をしろと言われれば、気分が悪くなるまで真面目に回り続ける。
そうやってたゆまぬ努力をできることが宮原選手の一番の強みです。
自信=練習量
宮原選手は試合後のインタビューなどで「もっとたくさん練習して・・・」とか「練習の通りやろう」というような言葉をよく口にします。それは彼女の意味する”練習”がいい演技をするためだけの練習だけでなく何回演技しても毎回同じように良い演技をするための練習だからです。例えば難易度の高いジャンプも「練習ではけっこう決まってた」というレベルでは彼女は納得しません。
そうやってその時点で自分ができる最高の演技を最高の成功率を目指して練習することが彼女の自信につながり安定感を生み出しています。
(関連記事:スケート以外でも努力家のいち面がうかがえる宮原選手)
緊張に負けた自分を徹底分析
2014-15シーズンに世界選手権2位になるもののグランプリファイナルに出場ず悔しい思いをした宮原選手は、2015‐16シーズンのグランプリシリーズ初戦のアメリカ杯で緊張と気負いからルッツジャンプ転倒という珍しいミスを犯し納得の演技ができませんでした。
しかしそれ以降記録を更新し続けて大躍進した宮原選手。その裏には特別な対策法がありました。
10月のスケートアメリカでは珍しくジャンプで転倒し、3位に終わった。NHK杯まで約1カ月。宮原は練習中と試合のジャンプを見比べて、ある悪癖に気がついた。緊張する試合では、ジャンプで早く回転しようとするあまり、頭と顔も一緒に回っていたのだ。そうするとジャンプが上がりにくくなり、転倒や回転不足の要因ともなる。練習ではその改善に努め、NHK杯での結果につなげた。
引用:http://sports.yahoo.co.jp/column/detail/201511300005-spnavi
スローで見ないと分からないほどのわずかな違いですが、失敗ジャンプの時は頭が先に回っていますよね。アメリカ大会後練習中のジャンプの映像をたくさん撮影し、失敗したものと成功したものをコーチと徹底的に見比べて発見したそうです。
緊張を計算に入れて練習方法を変更
緊張したときの演技を分析した宮原選手のチームは、本番の緊張を計算した練習方法を取り入れました。緊張下では無意識的にジャンプを跳び急ぐのは仕方ないことと考え、練習ではジャンプの飛び上がりにあえて溜めを作るようにしたそうです。
宮原選手のことですからこの緊張対策ジャンプも体に染み付くほど徹底的に練習したにちがいありません。
そしてまた、練習中でも本番のように6分間練習のあと時間を空けてからいきなり通し演技をしたり、通学バスの中やざわついた場所で曲を聴いて集中するイメージトレーニングも行っているそうです。
そうやって緊張対策を行ったことで本番に大きなミスのない演技ができる。それが自信に繋がる。そしてまた練習する。その良い連鎖が彼女の安定感と実力を引き上げることにつながっているんですね。
今後は日本のエースとしてますますプレッシャーが強くなるだろう宮原選手。しかし彼女はプレッシャーについてこう考えます。
「誰が何点出しても自分のやるべきことをやるだけ。」
つねに自分と真剣に向き合い、努力してきた人の重みのある言葉ですね。アスリートの真髄。
宮原選手についてもっと知りたいなら