エフゲニア・メドベージェワ(メドベデワ)選手と言えば、フィギュアスケート界の次世代世界女王と呼び声も高い若干15歳の選手です。2014-15シーズンは出場したジュニアの大会全で優勝し、ジュニアの世界女王に輝きました。そしてシニア初参戦の2015-16シーズン、初戦のスケートアメリカで見事優勝。彼女の強さの秘密とは一体?
エフゲニア・メドベージェワ選手は2015-16フギュアスケートグランプリシリーズ アメリカ大会で、シニア初参戦でありながら優勝を果たしました。フリーで自己ベストを記録したグレイシー・ゴールド選手や、昨シーズン世界選手権2位の宮原知子選手、そして先輩リプニツカヤ選手など強力なライバルを抑えての優勝は、メドベデワ選手の最高のシニアデビューだったと言えるでしょう。
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エフゲニア・メドベージェワ(メドベデワ)のスケートの特徴
彼女は高さのあるジャンプが特徴です。3フリップ-3トゥループを得意としています。そして何と言っても片手上げのタノジャンプ!今シーズンのFSではプログラムの半分位タノジャンプです。
また、彼女は柔軟性を活かした軸がブレない美しいスピンができます。そしてシニア1年目とは思えない落ち着いた大人の美しさを演出できる表現力を持っています。
そして彼女というか、コーチの特徴と言えますが、メドベージェワ選手のプログラムは、得点を稼ぐことをかなり意識しています。例えば、2015-16シーズンのSPでは全ジャンプを後半に持ってきたり、FSでは5本のジャンプを後半に持ってきています。それはジャンプの基礎点を上げるためです。そして、タノジャンプ連発も加点対策です。おそらく見栄えより加点を優先させているでしょう。
これには否定的な意見もありますが、結果につながっているんだから文句言えないですよね^^;だいいち真似しようと思って誰でもできる簡単な構成じゃないですしね。
メドベージェワの強さの秘密は彼女の性格にあった
メドベージェワ選手は2014年のインタビューで自身のスケート人生や考え方について語っています。彼女の性格に強さの理由が現れていたので、インタビュー内容を意訳で紹介しておきます。
スケートを始めたきっかけと、コーチとの出会い
メドベージェワ選手の母親もフィギュアスケート選手でした。それなら当然母が娘に夢を託したのかと思いきや・・・実は、メドベージェワ選手は姿勢を治すために3歳ごろからスケートをさせられたそうです。
そして3歳からElena Vladimirovna Proskurinaコーチの指導を受けることになりましたが、その後大人の事情でコーチを転々とすることになります。そして、8歳の頃4人目のコーチであり現コーチのエテリ・トゥトベリーゼに出会いました。そしてサンボ70(有力選手が集まるスポーツクラブ)に所属しました。
エテリ・トゥトベリーゼコーチとの出会いで芽生えた覚悟
トゥトベリーゼコーチに出会った頃、メドベージェワ選手は曲がったアクセルやサルコウを跳んでいたようです。しかし、コーチの指導を受けて一年のうちに修正しました。
これを機にわずか9歳だったメドベージェワ選手は「スケートを仕事にしよう。私の人生にしよう。そのためにはもっと練習しなくちゃ」と決心したそうです。
メドベージェワはブレない!困難を乗り越える考え方
メドベージェワ選手はスケートで飯を食っていくぞ!と覚悟して以降、どんなに辛くても、体が動かなくても、スケートを辞めようと思わなくなったそうです。
自分の人生、困難を乗り越えられるのは自分だけ。逃げたとしてもラクな道はない。そういう考えが軸にあるからです。
そんな彼女は10歳くらいから自分自身に必要なことやその答えを自分で見つけて克服する、という考えのもと練習するようになったそうです。
これは私の考えですが、メドベージェワ選手は「自己責任」という意識が人一倍強く、それをモチベーションにしてるように感じました。トゥトベリーゼコーチは自主性を育む指導方法が得意なんでしょうか。
フィギュアスケートから得たもの
メドベージェワ選手はスケートが「自らゴールを設定し、そこに到達する能力と性格」を自分に与えてくれたと考えています。でもまだ修行の身のようですが。
彼女が描くゴールはすぐに到達できるものでは無いようです。しかしどんなに時間がかかってもそのゴールへ向かっていくことが重要だと語っています。
普通の15歳なら言えないセリフですよね><強力なライバルたちの中で突出しようと思えば強いメンタルも必要なんでしょう。もしかしたら、幼いころコーチが度々入れ替わった経験も「自分の軸をしっかり持つ」という彼女の考えに影響を与えたのかもしれません。
メドベージェワのモットーとライバルに対する考え方
ストイックでブレないメドベージェワ選手ですが、ライバルたちと距離を置いたりということは一切無いようです。というよりむしろライバルと積極的に交流したい派。
彼女は「悪と妬みを持つ者は頂点には立てない」というモットーを持っています。決してライバルを妬むことも、争うこともありません。リンクの外では時間があれば一緒に外に出たりして良い友人関係を気づいているようです。そしてライバルに対しても、素晴らしい演技ができる選手は悪意や嫉妬を持たない素晴らしい人格の持ち主だと考えているそうですよ。
それにメドベージェワ選手は国際大会が大好きです。なぜなら異なった人種、国籍、教育、コーチなどにとても興味があり、そういう新しい人と出会い、ネットワークを広げることが自分のキャリアにとっても重要だと考えているからです。そして全てのライバルを見て、 ライバルたちから学ばないといけないと考えています。
まとめ
彼女を強くしているのは「スケート=人生」という決意と自覚でしょう。
メドベージェワ選手はとにかく自分自身が納得するまで結果を追い求めるストイックさがあります(強い選手はみんなストイックですけど)。
一方でライバルたちから良いところを吸収して、それを自分がやるべき目標にどんどん組み込む柔軟性と謙虚さも持ち合わせている。この部分はラジオノワ選手と似たところがあるなと思いました(参考:ラジオノワ成長期で不調 彼女の性格はスランプ脱出に有利?)
メドベージェワ選手の演技は大人びていて勝手にクールな性格(悪く言えばお高く止まっているw)かと思っていたんですが、実は好奇心旺盛で分け隔てない性格なんですね。そんな彼女ならシニアではこれまで以上に世界中の選手やファンに愛されるスケーターになるんじゃないでしょうか。
おまけ:メドベージェワはトリプルアクセルに興味ないって言ってたけど?
2015年3月の世界ジュニア選手権後、メドベージェワ選手は「トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)には興味がないけど、4回転サルコーは跳びたい」と言ったいたようですが、その後、こんな記事が出ていました。
トゥクタミシェワ選手のトリプルアクセルが選手の技術の水準を引き上げたということについて意見を求められたメドベージェワ選手はこう語っています。
「私にとって最も重要なことは健康であること。もし私の健康(身体)がそれ(3アクセル)を許せば再考し挑戦しないわけない。私はいまのところまだ試してないけど、全ては可能です。」
つまり、コンディションの状況によってはトリプルアクセルに挑まないこともないという意味だと思います。
4回転でも3アクセルでも挑戦する選手が増えれば女子選手の将来はまた一つ明るくなりますね。